「25才の今日からあんたは女の子じゃない」までもが放送中止のCMになった今の時代
ついスマホから顔を上げてテレビ画面に目をやってしまう、ドキっとするCMが久々に流れた。
と思った束の間、「女性差別」「セクハラ」とネットで批判が相次ぎ、放送禁止となるなんて、トホホの結果である。
同情するよ、資生堂さん。
資生堂「インテグレート」 セクハラCM映像 25歳は女じゃない?
まず、この25才を境目に「今日からあんたは女の子じゃない」という言葉のインパクトが強すぎた。
資生堂のインテグレートで「”かわいい”をアップデートし続ける、いつまでも”かわいい大人”でいよう」というメッセージが伝わらなかったのは、それだけ世の女性が”かわいい”に固執し、現実の「いい大人なんだから」なんて言葉に敏感になっているということだろう。
しかも「”かわいい”でいつづける女=いい女」を訴える資生堂が、そのナイーブなお年頃に耳が痛い現実を見事に突きつけてしまったのだから、エラいこっちゃなのだ。
数秒後にポジティブな言葉で励まされたって、この怒りは収まらない。
あーコワイコワイ。
が、彼女たちをこんなにも攻撃的にしてしまったのは、おそらく21世紀に入ってからの話なのだ。
1999年の金鳥サッサのCMでは、横一列に並んだ女性の前を、少年が「金鳥サッサのおねえちゃん」と「金鳥サッサのおばさん」と、順に指差しながら移動するという現代ではびっくり仰天なCMがあった。
「おねえちゃん」と言われた女性の嬉しそうな顔、「おばさん」と言われた女性のムッとした顔がそこにあった。
90年代の黒ギャルが渋谷の街を埋め尽くした時代には、「ハタチ超えたらオバサンじゃ〜ん♪」と笑う少女がテレビでも漫画でもたくさんいた。
それがいつの間にか、若づくりに励む世代が権力を持ち、メディアを抑制してしまったのだからタイしたもんである。
美魔女とかトモダチ親子とか、上には上がいるから、20代だってまだまだ私はイケてると妙な自信を持ってしまう。
問題なのは、見た目に合わせて中身も若づくりに励むようになった彼女達と「年相応」の対応が求められる日本社会の間にギャップが生まれたことだろう。
別に若づくりをしたい人は、どんどん資生堂のインテグレートで若づくりしてもらって結構なのだが、外見だけでなく、中身まで若づくりしちゃあ、なんだか余計「うすっぺらく」なっちゃうよということである。
金鳥の時は、ただムッとするだけで笑い話になったお茶の間の出来事が、今は放送中止のデモになるなんて。
かといって「大人げないね」なんて言っても怒られるし。
あーコワイコワイ
一つ提案なんだけど、アンチエイジング反対派のキョンキョンを起用して、「年相応の美を追求するCM」を作るのはどうかな。
それも抗議の対象になるんだったら、いよいよ世も末だね。